Journal of Pesticide Science
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フェニトロチオンの主代謝産物, デスメチルフェニトロチオンの鏡像体比のキラルHPLCによる分析
宮崎 昭雄瓦谷 光男丸茂 晋吾
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1993 年 18 巻 1 号 p. 131-133

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抄録
フェニトロチオンの主代謝産物であるデスメチルフェニトロチオンの両鏡像体を, 数種のキラルカラムを用いるHPLCによって直接分離することを試みた. その結果, カラム充填剤として TSKgel Enantio-OVM を, 溶出液には20mM KH2PO4 (pH 6.0, 1ml/分) を用いたHPLCにおいて, 両鏡像体は保持時間7.8分および9.9分で完全分離した. また両ピークの絶対構造は, デスメチルフェニトロチオンのブルシン塩から得られた絶対構造既知の標品 [(R)p-(+)-デスメチルフェニトロチオン] を同条件でHPLC分析することによって, 前者は (R)p-(+), 後者は (S)p-(-) と決定された. ついで, フェニトロチオンをラット肝臓のグルタチオン S-トランスフェラーゼで代謝させて得られたデスメチルフェニトロチオンを同様の条件で分析したところ, (R)p鏡像体が (S)p体より多く生成した (58:42). この結果を以前に行なったマウスによる代謝実験 (65:35) と比較すると, 立体選択性は小さかった.
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© 日本農薬学会
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