Journal of Pesticide Science
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農薬の大気中への揮発速度と物理化学的性質との関係
渡辺 高志
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1993 年 18 巻 3 号 p. 201-209

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抄録

水溶液, 土壌, 稲体, ガラスの各表面からの14種類の農薬の揮発速度を測定し, 物理化学的パラメーターと各媒体からの揮発速度との相関を調べた. 水溶液からの揮発をみるため, ヘッドスペースガス法による水/大気の分配比, パージ&トラップ法による揮発速度, 比揮発度を測定した. 分配比, 揮発速度および比揮発度の間の相関はいずれも有意であり, これらはヘンリー定数 (H) とも有意な相関を示した. しかし, Hが1×10-3以下の農薬は水溶液からの揮発が認められなかった. 土壌からの揮発は, ヘッドスペースガス法による土壌/大気の分配比を測定した. 分配比は, H/KocおよびVP/(WSKoc) と有意な相関を示し, H/Kocが1×10-5以下の農薬は, 土壌からの揮発が認められなかつた (VP: 蒸気圧, WS: 水溶解度, Koc: 土壌吸着係数). 稲体からの揮発については, 農薬を稲に散布し, ヘッドスペースガス法による稲/大気の分配比, パージ&トラップ法による揮発速度を測定した. 揮発速度と分配比の間に有意な相関が認められ, これらは, VPおよびVPMWと有意な相関を示した. 今回の供試農薬のVPMWはいずれも11以上であり, GCにおける感度が低かったものを除き, すべて揮発が認められた (MW: 分子量). ガラス表面からの揮発をみるため, 農薬をガラスビーズに添加し, その表面からの揮発速度をパージ&トラップ法で測定した. 揮発速度とVP等の間に有意な相関が認められた. 各媒体からの揮発速度あるいは分配比は, 水溶液の表面からはH, 土壌の表面からはH/Koc, 植物体の表面からはVPMWとそれぞれ相関がみられたことから, これらの物理化学的パラメーターの大きさは, 農薬が各媒体から揮発するかどうかの判断材料の一つになると考えられる.

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