Journal of Pesticide Science
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芝地に散布されたスズメノカタビラの微生物防除剤である Xanthomonas campestris pv. poae の散布後の菌数変動
西野 友規藤森 嶺
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1998 年 23 巻 2 号 p. 151-154

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抄録
スズメノカタビラ (Poa annua L.) に対して除草活性を持つ植物病原細菌 Xanthomonas campestris pv. poae JT-P482 の散布後の運命を明らかにするために, 宿主・非宿主植物体内におけるJT-P482株の増殖・移行, そしてベントグラス芝生におけるRif-482株 (JT-P482株のリファンピシン耐性変異株) の菌体数の変動を調査した. その結果, 宿主植物であるスズメノカタビラとラフブルーグラス (P. trivialis L.) においては, 剪葉接種されたJT-P482株は接種部位から地際部まで増殖しつつ移行するが, 非宿主植物であるケンタッキーブルーグラス (P. pratensis L.), ベントグラス (Agrostis stolonifera L.) においては勢葉接種されたJT-P482株は接種部位に局在し, 植物体内を移行せず, 病徴も現れないことが明らかとなった. また, 4月中旬にベントグラス芝地に散布されたRif-482株はスズメノカタビラが芝地中に存在しない場合, その芝地中の菌体数は散布直後から徐々に減少し, 散布2ヵ月後には検出限界以下にまで減少した. しかし, その芝地にスズメノカタビラが存在した場合は, 菌体数は散布直後から増加し, 芝生中のスズメノカタビラが枯死する散布1ヵ月後を境として減少を始め, 散布3ヵ月後には検出限界以下にまで減少した. 以上の結果から, 芝生上に散布後の X. c. pv. poae JT-P482 (Rif-482) は, スズメノカタビラを枯死させた後には速やかにその菌体数を減少させ、芝地中に高濃度に残留しないことが示された.
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© 日本農薬学会
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