Journal of Pesticide Science
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フェニトロチオンの山羊にける代謝
三原 一優奥野 泰由三崎 義則宮本 純之
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1978 年 3 巻 3 号 p. 233-242

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抄録

14C-フェニル標識フェニトロチオンを0.5mg/kg/dayの割合で7日間, 日本ザーネン種の山羊に経口投与し, その代謝をしらべた. 最終投与1日後, 肝, 胃, 腸では0.812~1.164ppmの14Cが見いだされたが, 血液, 脳, 肺, 卵巣などその他の臓器の14Cは0.001~0.031ppmにとどまり, また, いずれの臓器および組織からもフェニトロチオンおよびフェニトロオキソンは検出されず, 胃および腸より微量のアミノフェニトロチオンが検出されるにすぎなかった. 14Cは体内より急速に消失し, 最終投与1週間後には全14Cの94% (尿50%, 糞44%) が, また, 残存14Cも時間の経過とともに漸次体内より排泄された. ミルク中には最高値0.011ppm (投与量の0.1%以下) の14Cが見いだされた. 尿, 糞およびミルク中の主要代謝産物はアミノフェニトロチオン, N-スルフォアミノフェニトロチオンおよびN-アセチルアミノフェニトロオキソンのO-脱メチル体であった. フェニトロチオンおよびフェニトロオキソンは見いだされなかった.
反芻動物においては, フェニトロチオンはまず, ニトロ基の還元をすみやかに受け, その後アミノ基の抱合, P=SのP=Oへの酸化, O-脱メチル化などを経て, 分解すると推定された.

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