Journal of Pesticide Science
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MBCP剤のハクサイ幼苗に対する薬害
行本 峰子石谷 秋人吉田 孝二小林 直人
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1978 年 3 巻 3 号 p. 243-247

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抄録

MBCP (4-bromo-2,5-dichlorophenyl methyl phenylphosphonothionate) の200~5,000ppm液散布によりハクサイ幼苗 (品種: 改良千歳) に黄緑斑を伴う奇型葉, 捲葉, 葉裏の葉脈部分のネクロシスおよび生育抑制の症状が認められた. 双葉の時期から5.5葉期までの種々の生育ステージの苗, および改良千歳以外の6品種の苗の場合も, 症状に軽重の差はあったが, いずれも同様の症状が見られた.
ダイコンの場合は5,000ppmの高濃度散布でも異常症状は認められず, カラシナ, コールラビは5,000ppm区でのみ軽い症状が見られた.
薬害症状の見られたハクサイと, 異常のなかったダイコンとについて, MBCP残留量の経時変化を比較したところ, 両者とも, 2日後に最大となり以後漸減するという同じようなパターンが得られた.
散布処理したハクサイの場合, 黄緑斑が生じたことから, 光合成に関連した生理的変化を調べたところ, クロロフィル量の減少割合は, 散布時に展開しつつあった葉で大きかった. 光合成能は, 散布後減少する傾向が認められ, 炭水化物量については, 全炭水化物量は散布により減少したが, 全糖は新葉で著しく増加した.

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