抄録
目的 人間の食行動を規定する因子に関し,遺伝要因と環境要因との影響を検討することにより,生活習慣病予防のための保健指導において対象者の環境要因への働きかけに資することを目的とした。
方法 30歳以上の成人双生児180組(MZ 134組,同性の DZ 46)組を対象に,食事習慣,食嗜好性,摂取量の多い食品目に関する問診を実施した。調査は総合健診時に,塩分または脂肪含有量の多い食品の摂取状況,1 日の食事回数,1 回の食事の摂取状況,および18の食品目の摂取状況に関し,栄養調査票を用いて聞き取りにより実施した。調査結果は χ2 検定を用いて,双生児のペア間での一致率の観測値と期待値を卵性ごとに比較した。
成績 塩分の多い食品・脂肪の多い食品の摂取状況,および食行動のパターンのいずれにおいても,一卵性のペアで一致率の観測値が期待値を有意に上回る項目がいくつかみられた。また,ペアの別離年齢が19歳以下と20歳以上の 2 群に分けて比較すると,塩分の多い食品・脂肪の多い食品の摂取状況,および食行動のパターンのいずれいても,一卵性のペアで,別離年齢が高い群の方が低い群よりも,一致率の観測値が期待値を有意に上回る項目が多くみられた。
結論 生活習慣病予防のための保健指導においては,食嗜好や食行動の特性を踏まえ,対象者の環境要因への効果的な働きかけが求められることが示唆された。