日本公衆衛生雑誌
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原著
わが国の大学生における踵骨音響的骨評価値と生活習慣との関連性
井深 英治大井田 隆三宅 健夫鈴木 健修元島 清香原野 悟横山 英世兼板 佳孝金子 明代武田 文
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2004 年 51 巻 9 号 p. 764-773

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抄録

目的 わが国の大学生のライフスタイルは健全とは言えず,将来の骨量低下が危惧されている状況である。しかし,この時期の生活習慣と骨量の関連性に関する研究は少なく,とくに男子の骨量に関するものはみられない。そこで,本研究は大学生の骨量と生活習慣との関連性を検討することを目的としている。また,本研究では女性ホルモンの影響を受けない男性についても検討をすることで,骨量と生活習慣の関連性をより明確にできることを期待した。
方法 大学生の男女合計766人を対象に超音波法(ALOKA 社製 AOS-100)を用いて踵骨音響的骨評価値の測定をし,さらに体格測定,生活習慣と食生活の調査,血液検査を行い,それらとの関連性について検討した。
結果 踵骨音響的骨評価値と身長,体重,BMI,体脂肪率,握力といった体格因子との関連性は男子より女子で強かった。さらに重回帰分析を用い,OSI を目的変数として体格,生活習慣と食生活,血液検査項目を説明変数として分析すると,男女とも定期的な運動習慣の有無が OSI と強い関連性を示した。また,男子ではアルコール摂取群の OSI が非摂取群より有意に高く,その一方で OSI と肝機能値の ALT (GPT) IU/l とには有意な負の相関があった。
結論 骨粗鬆症の 1 次予防にとって,男女とも定期的な運動習慣を継続することは非常に重要であると考えられた。また,飲酒群の骨量は非飲酒群より有意に高かったが,飲酒頻度が増えて肝機能に影響を与えるほどになると骨量低下の可能性もあることが示唆された。

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© 2004 日本公衆衛生学会
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