日本公衆衛生雑誌
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全国の市町村における喫煙対策事業の実施状況と重要性の認識
新村 洋未萱場 一則國澤 尚子若林 チヒロ柳川 洋
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2004 年 51 巻 9 号 p. 814-821

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抄録

目的 全国の市町村における喫煙対策事業の実施状況と喫煙対策事業に対する重要性の認識との関連を明らかにする。
方法 全国3,207市町村の健康づくり担当課に対し,郵送による質問紙調査を実施した。調査項目は,禁煙・分煙対策事業の実施内容,施設に対する受動喫煙防止の普及啓発活動の実施状況,普及啓発活動の媒体,喫煙対策事業の重要性についての認識,とした。
調査結果 2,570の市町村から回答が得られた(回答率80.1%)。95%以上の市町村で喫煙対策事業が実施されていた。実施事業の内容では,庁舎内分煙がもっとも実施率が高く,約 8 割の市町村で実施されていた。その一方,庁舎内全面禁煙や禁煙支援プログラムの実施率は 2 割以下であった。
 施設に対する受動喫煙防止のための普及啓発活動は,官公庁施設に対しては 6 割の実施率であるが,学校では 3 割,体育館,病院でも 2 割の実施率にとどまった。
 喫煙対策事業の重要性は 6 割の市町村が重要であると認識していた。また,庁舎内分煙は喫煙対策事業に対する重要性の認識の高低によらず実施率は高いものの,禁煙支援プログラムや庁舎内の全面禁煙は重要性の認識が高い市町村において実施率が高く,認識の低い市町村では実施率が低い傾向があった。
結論 自治体の喫煙対策の実施において,その重要性の認識が影響を及ぼしている可能性がある。そのため,喫煙対策の推進には自治体をはじめとする公的組織の喫煙対策の重要性の認識を高めるような方策を講じていく必要性があると考えられる。

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© 2004 日本公衆衛生学会
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