日本公衆衛生雑誌
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後期高齢者に対する健康度評価としての自転車エルゴメータによる運動負荷試験の有用性
武隈 清石川 裕哲早瀬 須美子久野 薫津下 一代富永 祐民
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2005 年 52 巻 6 号 p. 468-476

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抄録
目的 後期高齢者に対して自転車エルゴメータによる運動負荷試験を実施した場合の心血管系異常所見の出現状況,および,運動負荷試験にて評価した運動耐容能と他の体力指標や日常生活機能との関連を横断的に検討する。
方法 転倒予防のための運動訓練実施を予定している高齢者83人(男24人,平均年齢80歳)を対象に,日常生活機能についての質問票による調査,体力検査(最大一歩幅,10メートル全力歩行速度,片足立ち時間,握力),および自転車エルゴメータによる運動負荷試験を実施した。運動負荷試験は多段階負荷増加法にて行い,最初の 3 分間を15ワットでこぎ,以後 3 分間毎に15ワットずつ上昇するプロトコールとした。エルゴメータ実施時間を運動耐容能の指標とした。そして,男女別にエルゴメータ実施時間の 3 分位による群別を行い,それと他の体力指標,および日常生活機能との関連を検討した。
成績 対象者の65人(78.3%)で運動負荷試験が実施可能であった。運動負荷試験終了の理由として,下肢疲労が最多(29人,44.6%)で,次いで血圧上昇(17人,26.2%)であった。なお,全員が負荷心電図の判定は陰性であった。エルゴメータ実施時間による 3 分位群間における体力指標の比較では,男では歩行速度,歩行時のピッチで 3 群間に有意差を認め,第 3(最高)分位群が最も高値であった。一方,女では,片足立ち時間が第 3 分位群で最も高値であり,有意差を認めた。日常生活機能の比較では,女では,乗り物の座席からの立ち上がり,水たまりの飛び越し,エスカレータへの移乗が可能と回答した者の頻度で 3 群間に有意差を認め,第 3 分位群が最も高率であった。一方,男では有意差を認めた項目はなかった。過去 1 年間の転倒の既往を有する者は,男女とも第 3 分位群にはみられなかった。
結論 下肢運動が主体の運動耐容能の高さは,良好な下肢機能や日常生活機能と関連していた。
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© 2005 日本公衆衛生学会
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