老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
地域高齢者の精神的健康の縦断変化に及ぼす老年的超越の影響の検討
――― 疾患罹患・死別イベントに対する緩衝効果に注目して ――
増井 幸恵権藤 恭之中川 威小川 まどか石岡 良子稲垣 宏樹蔡 羽淳安元 佐織栗延 孟小野口 航髙山 緑新井 康通池邉 一典神出 計石崎 達郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 41 巻 3 号 p. 247-258

詳細
抄録

 地域在住の前期および後期高齢者に3〜4年間隔で実施した2時点の縦断データを用いて,老年的超越が精神的健康に対して縦断的な影響を与えるか,大きな疾患や死別を経験した際の精神的健康の低下を緩和するか,またその年齢差について検討を行った.

 分析の結果,ベースライン時の老年的超越が高いと,ベースライン時の精神的健康やその他の変数を調整しても,フォローアップ時の精神的健康が有意に高かった.また後期高齢者では「きょうだいとの死別」経験時の精神的健康の低下が老年的超越により緩衝されることが有意に示された.

 これらの結果から,前期および後期高齢者では,老年的超越が高いとその後の精神的健康がよくなることが示された.また,老年的超越の緩衝効果は限られたイベントのみで確認された.このことは,老年的超越は前期および後期高齢者の精神的健康に対して状況特異的に機能するのではなく,全般的に高める働きをもつことが示唆された.

著者関連情報
© 2019 日本老年社会科学会
次の記事
feedback
Top