2019 年 41 巻 3 号 p. 247-258
地域在住の前期および後期高齢者に3〜4年間隔で実施した2時点の縦断データを用いて,老年的超越が精神的健康に対して縦断的な影響を与えるか,大きな疾患や死別を経験した際の精神的健康の低下を緩和するか,またその年齢差について検討を行った.
分析の結果,ベースライン時の老年的超越が高いと,ベースライン時の精神的健康やその他の変数を調整しても,フォローアップ時の精神的健康が有意に高かった.また後期高齢者では「きょうだいとの死別」経験時の精神的健康の低下が老年的超越により緩衝されることが有意に示された.
これらの結果から,前期および後期高齢者では,老年的超越が高いとその後の精神的健康がよくなることが示された.また,老年的超越の緩衝効果は限られたイベントのみで確認された.このことは,老年的超越は前期および後期高齢者の精神的健康に対して状況特異的に機能するのではなく,全般的に高める働きをもつことが示唆された.