日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
適正減量を目指した糖尿病予防の個別健康教育における強力介入群と通常介入群の比較
栗山 進一島津 太一寳澤 篤矢部 美津子田崎 美記子物永 葉子境 道子三浦 千早伊藤 文枝伊藤 孝子矢部 初枝新田 幸恵鈴木 玲子藤田 和樹永富 良一辻 一郎
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2006 年 53 巻 2 号 p. 122-132

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抄録
目的 糖尿病予防対策として個別健康教育が広く実施され効果を得ているが,本邦で実施されているプログラム例と海外のプログラム,とくに米国の Diabetes Prevention Program (DPP)のそれとでは大きな違いがあり,DPP では面接回数が多くより強力な介入を行っている。本研究の目的は,糖尿病予防の個別健康教育における面接回数の多寡による介入効果の短期的な差を検討することである。
方法 対象は福島県耶麻郡西会津町の住民で,平成14年または平成15年の健康診断で空腹時血糖値が95 mg/dl 以上126 mg/dl 未満の値を示し,平成16年の事前検査で Body Mass Index (BMI)が23.0以上かつ空腹時血糖値126 mg/dl 未満・糖負荷後 2 時間血糖値200 mg/dl 未満(糖尿病型でない)で,がん,心筋梗塞,脳血管疾患,腎疾患の既往のない44歳から69歳までの男女25人である。居住地区を単位として面接回数の多い(月に 2 回:n=11)強力介入群と通常の面接回数である(月に 1 回:n=14)通常介入群とに無作為に割り付け,生活習慣の変容を通して少なくとも 7%以上の体重減少を目指した個別健康教育を 6 か月間実施した。
成績 強力介入群と通常介入群との間で,介入前における基本属性に有意な差はみられなかった。介入の結果,体重が 7%以上減少したのは,強力介入群で 5/11人(46%),通常介入群で3/14人(21%)であった。体重は両群とも有意に低下し,強力介入群で−3.5 kg(P<0.0001),通常介入群で−1.8 kg(P=0.02)の変化がみられた。性,年齢,介入前の体重値を調整した両群の変化の差(強力介入群の変化−通常介入群の変化)は,−2.0 kg(95%信頼区間−4.0,−0.05;P=0.045)で統計学的に有意であった。BMI,皮下脂肪面積も,通常介入群に比べ強力介入群で有意により大きく低下した。一方,負荷後 2 時間血糖値およびその他の検査結果には両群間で統計学的に有意な変化の差はみられなかった。
結論 6 か月間の介入による短期効果の点からみて,月に 1 回の面接指導と月に 2 回の面接指導はともに過体重者または肥満者の体重を減少させた。体重減少は面接指導を月に 1 回よりも 2 回行う方が 2 kg 大きく,強力な介入はより効果的な糖尿病予防に資する可能性が示唆された。
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© 2006 日本公衆衛生学会
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