日本公衆衛生雑誌
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原著
水溶性食物繊維(Partially Hydrolyzed Guar Gum)による糞便量,便硬度および便水分含有量の検討
坂田 由紀子新保 慎一郎
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2006 年 53 巻 4 号 p. 257-264

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抄録

目的 食物繊維が大腸癌発病に対し予防効果があることから厚生労働省は,近年食物繊維の摂取量が不足しがちである日本人に対し,その所要量を定めている。
 我々はグアー豆のガム質を低粘度化した水溶性食物繊維(Partially Hydrolyzed Guar Gum 以下 PHGG)の有用性,問題点を確かめるために PHGG を健常な女子学生に負荷し,食物繊維のサプリメントとして PHGG が糞便量,硬度,水分含有量に与える効果について検討した。
方法 健常な女子学生 9 人に春秋の二期に14日間にわたって同一献立による食事を摂取させ,二期目に食後 1 日あたり12.5 g の PHGG(純度80% 食物繊維10 g に相当)を水に懸濁して負荷した。糞便量の計量,電子水分計による便水分含有量,レオメーターによる硬度を測定し,PHGG 負荷前後の便性状をコントロールと比較した。
結果 1. 糞便量は PHGG 負荷により 9 人中 4 人で有意に増加したが,2 人で有意に減少した。
 2. 便硬度は PHGG 負荷により 9 人中 3 人で低下したが,4 人で有意に上昇した。
 3. 便水分含有量は PHGG 負荷により 9 人中 5 人で有意に増加し,2 人で有意に減少した。
 4. カチカチ状に分類される硬度は,硬度150 g/cm 以上であった。
 5. コントロールの糞便量と便硬度,便硬度と便水分含有量との間に有意の逆相関がみられ,PHGG 負荷では便硬度と便水分含有量に有意の逆相関がみられた。
結論 PHGG 負荷により糞便量は 9 人中 4 人で,便水分含有量は 5 人で増加し,便硬度は 3 人で低下した。その効果は一様ではなく個人差がみられた。

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