抄録
目的 本研究は,地域高齢者における日常の身体活動レベル(Physical Activity Level: PAL)と身体,心理および社会的要因との関係を検討した。
方法 対象者は,平成15年群馬県草津町の「にっこり健康相談事業」(高齢者向け健康診断)を受けた,同町70歳以上の住民428人であった。うち,面接調査と体力調査のすべてのデータがそろった330人を,本研究の分析対象とした。PAL は,内藤ら(2003)によって開発された質問紙を用いて評価した。対象者は,老研式活動能力指標と認知機能を含む身体,心理および社会的機能に関して,面接を行った。体力測定では,握力,通常歩行速度,最大速度歩行および開眼片足立ち時間を測定した。
結果 性と年齢を調整した共分散分析(ANCOVA)において,PAL は,高次生活機能,体力などの身体的要因,抑うつ度などの心理的要因,家の中での役割・仕事の有無などの社会的要因,そして喫煙習慣と有意な関連を認めた。一般線形モデルでは,喫煙習慣,通常歩行速度,抑うつ度,家の中での役割・仕事の有無,外出頻度および視力障害によって,PAL の変動の13.5%が説明された。
結論 70歳以上の地域高齢者における PAL は,身体,心理および社会的要因と関連することが示唆された。