目的 対象集団の年齢調整死亡率の基準集団のそれに対する較差の 2 時点間における変化への死因と年齢の寄与の程度を死因別年齢別に明らかにする新たな指標として,較差変化寄与割合を提案する。さらにこの指標を用いて1985年から2000年の15年間における沖縄県男性との全国男性の平均寿命の較差の縮小に寄与した死因と年齢の寄与の程度を推測し,沖縄県民に対する適切な疾病予防対策に役立てる。
方法 1985年から2000年までの15年間の沖縄県男性の全国男性に対する年齢調整死亡率の較差の差と,較差変化寄与割合を算出した。
結果 較差変化寄与割合が大きな死因は,脳梗塞(24.26%),心不全(18.45%),その他の脳血管疾患(15.11%),胃の悪性新生物(11.89%),虚血性心疾患(11.06%),肝疾患(10.93%),自殺(5.71%),糖尿病(5.36%)であった。脳梗塞,心不全,その他の脳血管疾患,胃の悪性新生物,虚血性心疾患,糖尿病は65歳以上の高年齢層で,肝疾患と自殺は中年齢層で較差変化寄与割合が大きかった。
結論 本研究では,沖縄県男性と全国男性の年齢調整死亡率の較差の縮小に寄与した死因と年齢の寄与について,その寄与の程度を死因別年齢別に明らかにすることができた。
今回の研究で取り上げられた死因とその年齢は,いずれも疾病予防対策上重要であると考えられる。平均寿命の較差の変化に寄与した死因と年齢の寄与の程度を推測する方法として,較差変化寄与割合は有用な指標であると考えられる。