抄録
目的 大阪府食育推進計画を策定するにあたっては,今まで実施してきた取り組みを生かしてより効果的な食育を推進する必要がある。本研究では,このための基礎資料として,関心層,無関心層それぞれのニーズを把握し,行政における限られた資源を有効に使う方法,地域の資源・ボランティアを活用する方法を探るために行った質問紙調査について報告する。
方法 限られた予算と時間の中で実施できる方法として,行政栄養士の共同研究事業として位置づけ,関心の高いボランティア集団や協力企業等の状況を把握するための方法として各種講演会などの参加者に実施すること,関心の低い層も含む一般集団として児童・生徒・学生およびその保護者に調査を実施することを計画した。各種講演会等においては各本庁から,学生・生徒・児童・保護者については各保健所から調査依頼を行い回収することとした。
結果 質問紙の有効回収数は7,320であった。食育という言葉も意味も知っていた者は全体の57%を占めたが,ボランティアおよび教育関係者では 8 割,保護者で 5 割,学生で 3 割と大きな差があった。食育に関心がある者は全体の53%であったが,保護者では 4 割,学生では 3 割であった。関心がある理由は,「子どもの心身の健全な発育のために必要だから」が83%,「食生活の乱れが問題になっているから」が75%,「生活習慣病の増加が問題になっているから」が60%で,属性間の差は小さかった。「食育活動を積極的にしている,またはできるだけするようにしている」は,全体で58%であったが,保護者では 5 割,学生では 4 割であった。活動をしていない理由は,「他のことで忙しいから」がどの属性でも最も高いものの,「活動をしたくても情報が入手できないから」が,事業者及び教育関係者で 2 番目に,ボランティアで 3 番目に高かった。農業体験が子どもの食育に必要であるとした者は全体の84%であり,農業体験のない者(全体の51%)においても体験をしてみたい者は54%であった。
結論 食育の推進者側における情報の流通及び協力態勢の構築が,府民各層への周知と並行して必要と考えられた。農業体験を含む食育推進のための施策が子どもを重点として求められていると考えられた。