日本公衆衛生雑誌
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わが国における妊婦の喫煙状況
大井田 隆曽根 智史武村 真治尾崎 米厚兼板 佳孝玉城 哲雄簔輪 眞澄林 謙治
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キーワード: 妊婦, 喫煙, 受動喫煙, 疫学調査
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2007 年 54 巻 2 号 p. 115-122

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抄録

目的 全国規模で妊産婦の喫煙行動および関連要因を疫学的に明らかにし,健康教育の推進を含めた今後の政策立案に資するための科学的根拠を確立することを目的として,平成14年および18年の 2 回にわたり全国調査を実施した。
方法 調査は,社団法人日本産婦人科医会の調査定点の産科医療機関のうち,最終的に調査協力の得られた全国260か所(平成14年),344か所(平成18年)で実施した。対象者は当該産科医療機関を受診した女性のうち,「妊娠の確定した再診の妊婦」とし,初診の者,妊娠未確定の者,妊娠の継続を望まない者は除いた。無記名自記式の質問票を用いて,待ち時間に各自に回答してもらい,密封封筒により回収した。回答数は平成14年16,528,平成18年19,650で,全てを有効回答として解析の対象とした。
結果 妊娠前に喫煙していたが妊娠中(調査時点)は喫煙していない妊婦の比率は平成14年24.6%,平成18年25.7%で,妊娠中の喫煙率は平成14年10.0%,平成18年7.5%であった。最終学歴が高くなるにつれ妊娠中の喫煙率は低くなる傾向があった。回答者の約 2 分の 1 は日常的に受動喫煙しており,その場合の喫煙者は夫が 8 割であった。
結語 ほぼ同じ方法で実施された調査において,平成18年調査で妊娠中の喫煙率は 4 年前の平成14年調査に比較して低くなっている。喫煙率が下がっていることは健康日本21における禁煙運動の進展や産婦人科医師による保健指導の成果があったものと推測される。とくに年齢階級別で19歳以下の喫煙率が低下していることは十分評価できる。

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© 2007 日本公衆衛生学会
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