2007 年 54 巻 6 号 p. 361-367
目的 最近10年間におけるインフルエンザワクチン接種対象の変遷を検討する。
方法 米国予防接種諮問委員会(The US Advisory Committee on Immunization Practices, US-ACIP)の1997年から2006年に到る勧告について記述する。
結果 1997年勧告からの主な変更点は以下の通りである。①月齢 6~23か月の乳幼児をハイリスク・グループに含めたこと,②ハイリスク・グループの妊婦として,第 2 三半期以降の妊婦から全妊婦に拡大したこと,③何らかの神経・筋症状を呈する基礎疾患を有しており,誤嚥性肺炎を起こす恐れのある者をハイリスク・グループに含めたこと,④インフルエンザに罹患すると診療所,救急外来,病院を受診するリスクが高い者というカテゴリーを新たに設定したこと,またその中に月齢24~59か月の小児と50~64歳の者を含めたこと,⑤ハイリスク者にインフルエンザを伝播する者として,月齢 0~59か月の小児と接触する者を含めたこと,⑥ハイリスク者にインフルエンザを伝播する者を大きく 3 群(保健医療従事者,ハイリスク者との接触者,月齢 0~59か月の小児と接触する者)に整理したこと,である。
結論 この10年間における最も主要な変更点は,月齢 6~59か月の乳幼児に対する勧告接種である。これ以外の年齢層においても,勧告接種の対象集団は拡大しつつある。