日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
54 巻 , 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 大藤 さとこ, 藤枝 恵, 福島 若葉, 前田 章子, 廣田 良夫
    2007 年 54 巻 6 号 p. 361-367
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 最近10年間におけるインフルエンザワクチン接種対象の変遷を検討する。
    方法 米国予防接種諮問委員会(The US Advisory Committee on Immunization Practices, US-ACIP)の1997年から2006年に到る勧告について記述する。
    結果 1997年勧告からの主な変更点は以下の通りである。①月齢 6~23か月の乳幼児をハイリスク・グループに含めたこと,②ハイリスク・グループの妊婦として,第 2 三半期以降の妊婦から全妊婦に拡大したこと,③何らかの神経・筋症状を呈する基礎疾患を有しており,誤嚥性肺炎を起こす恐れのある者をハイリスク・グループに含めたこと,④インフルエンザに罹患すると診療所,救急外来,病院を受診するリスクが高い者というカテゴリーを新たに設定したこと,またその中に月齢24~59か月の小児と50~64歳の者を含めたこと,⑤ハイリスク者にインフルエンザを伝播する者として,月齢 0~59か月の小児と接触する者を含めたこと,⑥ハイリスク者にインフルエンザを伝播する者を大きく 3 群(保健医療従事者,ハイリスク者との接触者,月齢 0~59か月の小児と接触する者)に整理したこと,である。
    結論 この10年間における最も主要な変更点は,月齢 6~59か月の乳幼児に対する勧告接種である。これ以外の年齢層においても,勧告接種の対象集団は拡大しつつある。
原著
  • 北澤 健文, 坂巻 弘之, 武藤 孝司
    2007 年 54 巻 6 号 p. 368-377
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 政府管掌健康保険(以下「政管健保」とする)の被保険者本人を単位とし,生活習慣病予防健康診査結果と診療報酬明細書(レセプト)データを接合したデータセットを用いて健診結果が10年後の医療費に与える影響について検討した。
    方法 三重県の政管健保被保険者本人のうち,平成 5, 10, 15年度のすべての健診を受け,平成15年度に医療費が発生しているものから性,年齢による層化無作為抽出を行い,さらにデータ使用可能であった2,165人を対象とし,平成 5 年度の健診結果と平成15年度の医療費発生状況との関係を分析した。医療費は対数に変換し,リスクとの関係の検討においては性,年齢で補正した共分散分析を実施した。
    結果 健診結果ならびに医療費は性・年齢階層と関係があるが,これらの要因を調整した健診結果と医療費との間の関係では,いずれの検査項目でもリスクあり群はリスクなし群に比べ有意に医療費が高く,リスク数と医療費との関係をみると,リスク数 0 群の5,234点に対し,リスク数 4 群が21,889点と約 4 倍高く,統計学的にも有意であった。
    結論 健診結果と医療費の関係を分析することで,保健指導の対象者や重点対象者の選定に利用可能であることが示された。
資料
  • 若林 チヒロ, 新村 洋未, 國澤 尚子, 山口 恵, 萱場 一則, 三浦 宜彦, 尾島 俊之, 坂田 清美, 柳川 洋
    2007 年 54 巻 6 号 p. 378-386
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 市区町村は,「健康日本21」地方計画においてどのような分野の健康づくり事業を実施し効果をあげているのか,中間評価や最終評価をどのように実施する予定かを明らかにし,市区町村が地方計画をすすめるための基礎資料を提供する。
    方法 2003年 6 月に全市区町村を対象に実施した調査で地方計画を策定済み・予定とした市区町村1,446か所のうち,2005年 6 月20日現在の合併市区町村を除いた953か所を対象に質問紙にて郵送調査を実施した結果,793か所から回答があった(回収率83.2%)。このうち地方計画策定済み市区町村638か所を分析対象とした。調査は2005年 7 月に実施した。
    結果 地方計画は2003年度に策定した市区町村が多く,中間評価は2006~2007年度実施予定が 6 割を占めた。最終評価は 4 割が2010年度実施予定としていたが,2011年度以降も半数を占めた。中間評価,最終評価ともに 6 割以上が実施予定であったが,人口10万人未満では人口規模の小さい市区町村ほど低率であった。
     中間評価の方法は,統計資料の利用,独自の質問調査の実施,健康診断成績の利用,他目的で実施した調査利用の順で,10万人以上の市区町村は独自の質問調査と他目的で実施した調査利用が高率であった。統計資料は,10万人未満のところでは地域保健・老人保健事業報告が,10万人以上では人口動態統計が多く,医療費の統計,老人医療費の統計,介護認定資料は 3 万人未満で高率であった。
     事業実施は,栄養・食生活,身体活動・運動,歯の健康の順に多く,たばこ,歯の健康,アルコールは10万人以上の市区町村で高率で,休養・こころの健康づくり,がん,糖尿病は,1 万人未満で低率であった。事業の効果があったとした市区町村の割合は,身体活動・運動とたばこで約半数と高く,アルコールで 2 割と低かった。
    結論 「健康日本21」地方計画は,中間評価や最終評価の実施予定年度を遅くする市区町村が増えていた。中間評価の方法は,独自に調査実施するよりも既存の統計資料を利用するとした市区町村が多かったが,市区町村別のデータが得られる統計資料は少なく限界がある。健康づくり事業で効果があったとした市区町村はいずれの分野でも半数以下であった。国は中間評価や最終評価の方法や効果的な事業についての情報を提供する必要がある。
  • 千綿 かおる, 武田 文
    2007 年 54 巻 6 号 p. 387-398
    発行日: 2007年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    目的 1)重度知的障害者施設入所者のうち歯磨き介助を受けている者と受けていない者とで生活行動と口腔状況の違いを明らかにする。
     2)歯磨き介助を継続して受けてきた者,受けていなかったが受けるようになった者,全く受けてこなかった者,それぞれの生活行動と口腔状況の経年変化を明らかにする。
    方法 重度知的障害者施設 1 箇所の入所者のうち1994年 7 月と2003年10月ともに歯科健診をした44名を対象とし,各年度の日常生活行動,口腔保健指導時行動,歯科健診時行動と口腔状況に関して,歯磨き「介助群」と「自立群」とで群間比較を行った。さらに「両年介助群」「自立から介助へと変化した群」「両年自立群」のそれぞれについて経年変化を分析した。
    結果 1)1994年・2003年の両年度とも歯磨き「介助群」は「自立群」に比較して多くの日常生活行動に介助を受けていた。「介助群」のうち歯磨きのできない者の割合は1994年には100%を占めたが,2003年では36.4%であった。歯科健診時行動に関しては1994年では全項目において「介助群」と「自立群」間で有意差が見られたが2003年では差が見られなかった。一方,口腔状況に関しては,1994年では両群間は差が見られなかったが,2003年では「介助群」は「自立群」よりも有意に喪失歯が少なく残存歯が多かった。
     2)各群における 9 年間の経年変化をみると,生活・行動面では「両年介助群」と「自立から介助へと変化した群」は日常生活の入浴に介助を要する者の割合が増えたが,「両年自立群」はいずれの生活・行動にも有意な変化が見られなかった。口腔状況では「両年介助群」はう蝕歯のみ増えたのに対して,「自立から介助へと変化した群」と「両年自立群」はいずれもう蝕歯・処置歯・DMFT が増えて健全歯が減った。
    結論 重度知的障害者施設入所者のうち1994年・2003年ともに歯磨き介助を受けている者は,受けていない者と比べて多くの日常生活行動に介助を要する者であった。9 年間で歯磨き介助の対象者は変化しており,自力で歯磨きのできない者から歯磨きができる者にも歯磨き介助が行われるようになった。9 年間歯磨き介助を受けてきた者は健全歯数が変化しなかったのに対し歯磨き介助を受けなかった者は健全歯数が減っていた。したがって自力で歯磨きができる者にも,今後何らかの形で歯磨き介助を検討する必要があると思われる。
feedback
Top