日本公衆衛生雑誌
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高齢者の町施設利用の関連要因分析 介護予防事業参加促進にむけた基礎的研究
平井 寛近藤 克則
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2008 年 55 巻 1 号 p. 37-45

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抄録

目的 介護予防事業(特定・一般高齢者施策)の開催場所として想定される保健センター,老人福祉センター等の施設の利用状況に関連する要因としての交通手段と距離の重要性を明らかにし,介護予防事業の参加促進のために考慮すべきことを探ることを目的とする。
方法 A 県 B 町の要介護認定を受けていない65歳以上の全高齢者5,759人を対象として自記式アンケート調査を行い,2,795票を回収した(有効回収率48.5%)。平均±SD 年齢72.3±6.2歳,サンプル全体に占める女性の割合は50.0%であった。目的変数として町施設の利用頻度,説明変数として基本的属性(性,年齢)手段的 ADL(instrumental activities of daily living; IADL)の自立度,「特定高齢者」該当の有無,老年うつ病スケール(GDS15項目版),主観的健康感,利用可能な交通手段,居住地区から町施設までの直線距離,調整変数として就労の有無,治療中の疾病の有無を用いた。分析手法はカイ二乗検定,多重ロジスティック回帰分析の 2 つである。カイ二乗検定では「週 1 回以上利用」,「月 1~2 回以上利用」,「年数回以上利用」の 3 つの利用頻度別に各要因との関連をみた。多重ロジスティック回帰分析では,まず年齢のみ調整した分析を行い,つぎにその分析で男女いずれかで有意な関連のあった変数を同時投入した。
結果 カイ二乗検定,年齢のみ調整の多重ロジスティック回帰分析ともに,身体・心理的要因が望ましい状態にある群に対し,良くない群で有意に町施設利用が少ないことが示された。また町施設までの直線距離が短い者に比べ長い者で町施設の利用が少ない傾向が男女とも共通してみられた。多変量解析では,うつ・IADL との町施設利用との関連はみられなくなった。距離と町施設利用の関連は男女ともにみられ,町施設までの距離が250 m 未満の群を基準とすると1,000 m 以上の群は,町施設利用のオッズ比は男女とも0.4前後に低下していた。交通手段と町施設利用の有意な関連は女性のみでみられた。
結論 介護予防事業の開催場所として想定される,保健センター・老人福祉センター等の町施設の利用は男女とも,施設までの距離が短いほど有意に多かった。また女性では利用可能な交通手段が豊かであるほど利用が多いという有意な関連が見られた。介護予防事業やその他の健康増進のための事業への参加を促進するためには,距離や交通手段などアクセスのしやすさに配慮する必要があると考えられる。

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© 2008 日本公衆衛生学会
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