日本公衆衛生雑誌
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原著
ホームヘルパーの仕事意欲測定尺度開発およびその関連要因
中谷 安寿杉浦 圭子三上 洋
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2009 年 56 巻 2 号 p. 87-100

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抄録

目的 超高齢社会の到来に伴い,在宅福祉の要とされているホームヘルプサービスを担っているホームヘルパーの仕事意欲測定尺度を作成し,さらにその仕事意欲に影響する要因を明らかにすることを目的とした。
方法 2007年 7 月,訪問介護サービスを行うホームヘルパー834人を調査対象とし,無記名自記式質問紙を直接配布し,郵送による回収を行った。調査項目は,ホームヘルパー本人に関する情報,担当利用者に関する情報,バーンアウト,ストレス,職務満足度,生活満足度,自己尊重度である。仕事意欲に影響する要因の検討においては階層的重回帰分析を行った。
結果 仕事意欲測定尺度に関して,構成概念妥当性においては因子分析により 2 因子が得られ,「現状肯定感」(9 項目),「向上志向」(3 項目)と命名した。内容的妥当性においては GP・IT 分析ともに 1%水準で有意であり,信頼性においては因子順に α=0.94, α=0.77であった。併存的妥当性において,仕事意欲下位尺度とバーンアウトとの関係では有意な負の(r=−0.23~−0.50),職務満足度・生活満足度との関係では有意な正の相関(r=0.24~0.49)が確認された。仕事意欲の下位尺度のうち現状肯定感には,利用者との関係やプロとしての技能を高められる環境,給料に満足していることが有意に正の影響を与え,向上志向には,利用者との関係や生活全般に満足していることが有意に正の影響を与えていた。
結論 ホームヘルパーの仕事意欲測定尺度を作成し,信頼性および妥当性を確認した。ホームヘルパーの仕事意欲の下位尺度は,現状肯定感と向上志向であることが確認された。ホームヘルパーの職場の環境や給料などの仕事に関する満足度を高める支援が現状肯定感を高め,生活全般における満足度を高める支援が向上志向を高める可能性が示唆された。

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© 2009 日本公衆衛生学会
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