抄録
目的 地域保健の分野において現任教育体制の整備が課題となり,厚生労働省で報告書が出された。しかし,なお,体制整備は困難な状況にある。本研究は,保健所および市町村の保健師と大学が協働で新任保健師育成の現任教育を実施した結果について,地域保健分野における保健師育成のための OJT に対する指導者の意識と組織体制の視点から分析し,OJT の定着に向けての検討を行った。
方法 アクションリサーチの方法を活用し,大学と保健所とが市の新任者および指導者育成の現任教育を協働で実施し,その評価を行った。データは半構成面接,会議記録,研修会時の状況記録と参加観察記録を用いた。面接の対象は,現任教育の担当者と現任教育の推進に責任を持つ者計10人で,1 回または 2 回の面接を行った。分析は,特に OJT に関する部分を抽出してコーディングを行い,コードを比較検討しながらカテゴリー化を行った。
結果 指導者は OJT での新任者指導の目的および方法に関して,新任者を現任教育の対象として理解すること,新任者のレベルに合わせた指導を意識し,新任者教育プログラムの標準化を期待していた。職場風土と体制に関しては,指導役割と時間を確保した指導体制の整備,OJT で育成するという人材育成の職場風土の形成,指導を通して相互啓発できる職場内のコミュニケーションが OJT の進展に関連した。さらに外部支援体制があることが有効であった。
結論 OJT の定着を推進するためには,指導者の指導力の育成と教育プログラムの標準化,OJT を実施できる職場の風土づくりと外部支援体制が重要である。