日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
地域における幼児う蝕予防対策の展開とその評価 20年間の観察研究
横田 紀美子椎名 由美原田 美知子若林 洋子稲川 三枝子大島 みゆき鳥海 佐和子廣瀬 久美子山岸 良匡池原 賢代尾崎 亜希子藤田 かおり湊 孝治佐竹 幸栄福田 英輝磯 博康
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2010 年 57 巻 8 号 p. 624-632

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抄録

目的 乳幼児の歯科保健事業として,法定の 1 歳 6 か月児,3 歳児健診に加えて,自治体独自で実施した 1 歳児,2 歳児,保育園児,幼稚園児の歯科健診やフッ化物歯面塗布等の予防対策の長期的な評価を行う。
方法 茨城県真壁郡協和町(現•筑西市協和地区)では,自治体独自の乳幼児う蝕予防対策として,フッ化物歯面塗布を1995年より 1 歳 6 か月児,2 歳児,3 歳児健診時で,1997年より 1 歳児健診で,2002年より保育園児/幼稚園児対象の健康教室で開始した。また,1990年からカリオスタット検査,1995年から RD テストを上記の健診の中で実施した。これら乳幼児う蝕予防対策の効果を分析するため,1984年から2004年までのう蝕有病割合等の推移を,旧下館保健所管内 7 市町村ならびに茨城県,全国の成績と比較した。
結果 1984年から2004年にかけて,協和町におけるう蝕有病割合の低下は 3 歳児で59%,1 歳 6 か月児で57%と,それぞれ管内 7 市町村の中で 1 番目,2 番目に大きかった。これらの低下は,茨城県や全国の成績に比べて大きかった。3 歳児において,う蝕有病割合の低下はフッ化物歯面塗布導入の1995年以降に大きくみられた。
結論 自治体独自でフッ化物歯面塗布などのう蝕予防や保健指導を 3 歳児,1 歳 6 か月児以外にも,対象を広げて計画的•長期的に実施したところ,協和町でのう蝕有病割合は管内の他の市町村や県,全国に比べてより大きく低下し,本町におけるう蝕予防対策の有効性が示唆された。

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© 2010 日本公衆衛生学会
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