日本公衆衛生雑誌
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災害時の栄養・食生活支援に関する協定についての全国調査
須藤 紀子澤口 眞規子吉池 信男
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2010 年 57 巻 8 号 p. 633-640

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抄録
目的 被災者支援の中心は市町村であるが,市町村管理栄養士•栄養士の配置は十分ではなく,被災市町村は他の自治体や関係機関などと連携•協力して,住民に対する栄養•食生活支援を実施することが必要となる。他機関からの応援を受けるための体制づくりの一つが災害時の協定である。本研究は,市区町村が実施する栄養•食生活支援活動に対する関係機関からの人的支援や,特殊食品の供給など要援護者の支援に関する協定の締結状況を調べることを目的とした。
方法 全国の1,784市町村と東京都23特別区を対象に,平成21年 1 月から 3 月にかけて,郵送法による質問紙調査を実施した。災害時の栄養•食生活支援活動として,「炊き出し」,「巡回栄養相談」,「被災者の健康•食生活調査」,「普通の食事ができない人への個別支援」をあげ,各活動について,どの人材•団体からの支援を想定しているか,自衛隊,管内行政栄養士,ボランティア団体等の11の選択肢から複数回答を得た。さらにこれらの人材•団体との協定の締結状況をたずねた。また,人的支援に関する協定をうまく機能させるための体制づくりと災害時における特殊食品(粉ミルク,ベビーフード,病人食,老人食など)の供給に関する協定についてもたずねた。
結果 回収率は65.5%(1,183市区町村)であった。他機関からの人的支援を想定している栄養•食生活支援活動としては「炊き出し」が最も多く,日赤支援団(48.9%)や自衛隊(47.8%)からの支援が想定されていた。しかし,支援は想定しているものの,これらの団体と災害時の人的支援に関する協定を締結している市区町村は,それぞれ1.2%と0.5%であった。人的支援に関する協定先として最も多かったのは社会福祉協議会であり,協定を締結している市区町村は2.6%であった。協定の内容はボランティア活動やボランティアセンターの開設•運営等に関するものが多かった。他の自治体や関係機関,企業等と災害時における特殊食品の供給に関する協定を「結んでいる」と回答した市区町村は21.0%であったが,内容をみると一般食料や生活用品に関するものがその 6 割近くを占めていた。
結論 他機関からの支援を想定している場合は,事前の調整や円滑な支援が受けられるよう,協定締結などの体制整備が必要であると考えられるが,現状は十分ではなかった。また,特殊食品の入手に関する準備体制が整っている自治体は依然として少ないことが分かった。
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© 2010 日本公衆衛生学会
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