日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
行政機関の保健師に求められる政策に関する能力と必要な保健師基礎教育の内容 市町村に勤務する保健師管理者への面接調査から
平野 美千代佐伯 和子上田 泉本田 光
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2012 年 59 巻 12 号 p. 871-878

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抄録

目的 本研究は,行政機関の保健師に求められる政策に関する能力と必要な保健師基礎教育の内容について明らかにすることを目的とする。
方法 行政機関に勤める実務経験年数10年以上の係長級以上の職位をもつ保健師 8 人を対象に半構造化面接を実施した。分析は質的記述的分析を行い,分析過程は共同研究者間で検討を重ねながら進めた。
結果 保健師に求められる政策に関する能力として29サブカテゴリーと13カテゴリーを抽出し,カテゴリー間の関係性を検討し,以下,3 つの中核カテゴリーを抽出した;①住民の健康を念頭においた主体的な取り組み,②行政組織の一員としての視点と技術,③住民の奉仕者としての公務員の姿勢。また,政策に関して必要な保健師基礎教育の内容として18サブカテゴリーと 9 カテゴリーを抽出し,カテゴリー間の関係性を検討し,以下,4 つの中核カテゴリーを抽出した;①保健師に必要な気質の育成,②個々の住民に着目した支援の重要性,③地域をみることができる洞察力の養成,④行政特有の機能とシステムの理解。
結論 今後,保健師が行政機関で政策立案に携わっていくには,保健師の医療職としての専門能力だけではなく,事務職員と同様に行政職員としての能力が必要と考えられる。また,政策に関する保健師基礎教育は,保健師に必要な人間性やコミュニケーション能力を養うほか,実際の保健事業をもとに政策に関して考える講義•演習•実習をとおした授業展開の重要性が示唆される。

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© 2012 日本公衆衛生学会
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