日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
地方感染症情報センター担当者に対する研修プログラムの需要
鈴木 智之神谷 信行八幡 裕一郎尾関 由姫恵岸本 剛灘岡 陽子中西 好子吉村 健清島田 智恵多田 有希調 恒明小澤 邦壽
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2013 年 60 巻 3 号 p. 146-152

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抄録

目的 地方感染症情報センター(LIDSC)業務の担当者(LIDSC 担当者)に対する研修プログラムの設置や研修テーマに対する需要を把握し,研修プログラムの必要性について検討した。
方法 LIDSC 担当者が多く参加する公衆衛生情報研究協議会(2011年 1 月)の関連会議として実施した研修会の参加者に対して質問票調査を行った。調査項目は,1)基本情報(所属と主な業務等),2)LIDSC 担当者に対する研修プログラムの必要性,3)希望する研修テーマ等を質問した。主な業務を LIDSC 業務と回答した者を対象として,「記述疫学」,「解析疫学」,「統計解析ソフト」と「実地疫学調査」についての知識の保有と実践能力に対する自己評価,および2007–10年の研修受講歴と教育実施歴について回答を求めた。
結果 研修会に参加した自治体職員55人より回答を得た(回収率100%)。52人(95%)は研修プログラムの設置が必要と回答した。研修のテーマとして,疫学全般については「基本的な統計解析方法(85%)」,「記述疫学(65%)」と「疫学概論(60%)」を,感染症サーベイランスについては「データの解釈方法(65%)」,「感染症発生動向調査の背景や目的(60%)」,「積極的疫学調査の方法(60%)」と「データの解析方法(51%)」を半数以上が選択回答した。「知識」に対する自己評価は,すべての項目に対して「少し理解している(まだ勉強が必要)」と「理解していない」が多く,「業務実践能力」に対する自己評価は,「指導者がいれば実践(利用)できる」,および「実践(利用)できない」が多かった。また,これらの教育実施歴をもつ者と研修会受講歴がある者は少なかった。
結論 LIDSC 担当者向けの研修プログラムの設置に対しては高い需要があった。また,疫学や感染症サーベイランスに係る知識の保有や業務実践能力に対する自己評価結果を加味すると,早急に研修プログラムを設置するべきである。

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© 2013 日本公衆衛生学会
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