目的 本報告の目的は,現在までに我が国で報告されている二次予防事業の対象者(特定高齢者)への介入研究についてシステマティックレビューし,介入の効果と今後の課題を検討することである。
方法 Medline, CINAHL, PsycInfo,医学中央雑誌文献データベースを用いて検索された61編(英文 7 編,和文54編)について,対象者の年齢と男女比,研究デザイン,介入プログラムの 3 項目について検討した。
結果 以下の 3 つの知見が得られた。(1)研究対象者は,後期高齢者と女性の比率が高い。(2)研究デザインについては,前後比較試験が大半である。(3)介入方法としては,公民館等で実施される集合型の筋力トレーニングや運動による介入を行うことで,運動器の機能改善を報告する文献が多い。
結論 今後の課題として,訪問型の介護予防プログラムの普及や,いまだ有効とされる介入が少ない生活機能や栄養状態,口腔機能,閉じこもり,認知機能,抑うつ改善を目的とした介入方法の確立が求められるとともに,すでに多くの前後比較試験で有効性が報告された筋力トレーニングや運動については無作為化比較試験による効果の検証が期待される。