日本公衆衛生雑誌
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62 巻 , 1 号
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総説
  • 鵜川 重和, 玉腰 暁子, 坂元 あい
    2015 年 62 巻 1 号 p. 3-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/09
    ジャーナル フリー
    目的 本報告の目的は,現在までに我が国で報告されている二次予防事業の対象者(特定高齢者)への介入研究についてシステマティックレビューし,介入の効果と今後の課題を検討することである。
    方法 Medline, CINAHL, PsycInfo,医学中央雑誌文献データベースを用いて検索された61編(英文 7 編,和文54編)について,対象者の年齢と男女比,研究デザイン,介入プログラムの 3 項目について検討した。
    結果 以下の 3 つの知見が得られた。(1)研究対象者は,後期高齢者と女性の比率が高い。(2)研究デザインについては,前後比較試験が大半である。(3)介入方法としては,公民館等で実施される集合型の筋力トレーニングや運動による介入を行うことで,運動器の機能改善を報告する文献が多い。
    結論 今後の課題として,訪問型の介護予防プログラムの普及や,いまだ有効とされる介入が少ない生活機能や栄養状態,口腔機能,閉じこもり,認知機能,抑うつ改善を目的とした介入方法の確立が求められるとともに,すでに多くの前後比較試験で有効性が報告された筋力トレーニングや運動については無作為化比較試験による効果の検証が期待される。
研究ノート
  • 吉岡 京子, 黒田 眞理子
    2015 年 62 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/09
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,行政の保健福祉専門職が対応に苦慮する困難な事例のうち,その支援を拒否する住民の特徴および関連要因を検討することである。
    方法 本調査は,対応困難事例への支援について精神科医等が助言する専門相談事業を2006年から実施している A 自治体と共同研究協定を締結し実施した。この事業に2006~2012年に提出された372人を分析した。対象者の基本属性,家族要因,精神科的要因,問題行動,保健福祉専門職による支援への拒否の有無について個人名を特定できない状態でデータ提供を受けた。保健福祉専門職による支援への拒否の有無とその関連要因を検討するためロジスティック回帰分析を行った。
    結果 分析対象とした309人のうち,支援拒否なし群は102人(33.0%),支援拒否あり群は207人(67.0%)だった。ロジスティック回帰分析の結果,生活保護を受給していること(Odds Ratio=1.86, 95%CI=1.02–3.39),拒薬があること(Odds Ratio=2.07, 95%CI=1.10–3.90),暴言があること(Odds Ratio=1.97, 95%CI=1.09–3.55)が,保健福祉専門職による支援への拒否があることに有意に関連していた。
    結論 本結果から支援拒否あり群は,支援拒否なし群よりも病状悪化の危険性や危機介入の必要性がより高い者である可能性が示唆された。
  • 田中 宏和, 中村 文明, 東 尚弘, 小林 廉毅
    2015 年 62 巻 1 号 p. 28-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/09
    ジャーナル フリー
    目的 がん患者ががん診療連携拠点病院(以下,がん拠点病院)など,どの医療施設でどのような治療を受けているのかを明らかにする必要があるが,がん患者の受療医療施設の分布やがん部位,治療ごとの報告は乏しい。本研究では健康保険組合のレセプトデータを用いたがん患者の受療医療施設と治療の分析により,がん患者の受療行動の現状を示す基礎資料を得る。
    方法 日本医療データセンター(Japan Medical Data Center, JMDC)が構築した,複数の健康保険組合のレセプトデータベースである JMDC Claims Database(対象者1,064,875人,2011年12月時点)を用いた。2005年から2011年の間に,5 大がん(胃,大腸,肝臓,肺,乳房)でがん治療を受けた患者を絞り込み,治療のうち最も時期の早いものを初回治療として治療内容(手術,放射線治療,化学療法など),治療術式(開腹,腹腔鏡,全摘出,部分切除など)を分類した。これらの治療を受けた医療施設を都道府県がん拠点病院,地域がん拠点病院,大・中病院(100床以上),小病院(20–99床),診療所(0–19床)の 5 つの医療施設群に分類し患者数,各医療施設群の占める割合,平均年齢を求めた。さらに初回治療以降の治療も含む治療内容,治療術式ごとに件数と各医療施設群の占める割合を算出した。
    結果 治療を受けた 5 大がん患者は2,901人だった。がん拠点病院で初回治療を受けたがん患者の割合は 5 大がん全体で43.9%であり,肺がんの60.0%で最も高く,大腸がんの31.3%で最も低かった。肝臓がん,肺がんの手術の多く(それぞれ67.6%,61.9%)ががん拠点病院で行われていたのに対し,胃がん,大腸がん,乳がんではそれぞれ45.5%,40.1%,49.8%にとどまった。また,胃がん,乳がんで手術の9.4%,9.3%,胃がん,大腸がんで内視鏡治療の14.1%,40.6%,乳がんで化学療法の11.4%が小病院または診療所で行われていた。大腸がんと乳がんでは患者の平均年齢がそれぞれ54.8歳,48.6歳であったが,都道府県がん拠点病院ではそれぞれ51.4歳,46.6歳で,診療所ではそれぞれ53.2歳,45.0歳であり,その他の医療施設群に比べより年齢の若い患者が治療を受けている傾向にあった。
    結論 健康保険組合レセプトデータによってがん患者の受療医療施設の分布を分析した本研究では,がん部位や治療内容,治療術式と年齢によってがん患者の受療医療施設の分布には違いがあるというがん患者の受療行動の現状を示した。
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