日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
鳥インフルエンザに対する地域住民と養鶏農家のリスク認知の違い
佐藤 祐佳
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2015 年 62 巻 3 号 p. 117-124

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抄録

目的 本研究では,地域住民・養鶏農家の鳥インフルエンザに対するリスク認知を明らかにすることを目的とした。
方法 無記名自記式質問紙調査で,地域住民310/1,000人(回収率31.0%)と養鶏農家198/976人(回収率20.3%)に実施した。主な調査項目は,感染症についての認知とリスクイメージである。リスクイメージは,恐ろしさ因子(4 項目,各項目 1 点から 7 点と配点)と未知性因子(4 項目)の平均得点を恐ろしさ因子得点,未知性因子得点として算出した。
結果 感染症の認知では,SARS(OR=0.49 P=.003)で地域住民は養鶏農家に比べ有意に認知が低かった。感染症のリスクイメージにおいて有意差を認めた変数は,鳥インフルエンザの恐ろしさ因子(β=−0.89 P<.001),未知性因子(β=0.74 P<.001)であった。地域住民は鳥インフルエンザに対して,養鶏農家に比べて恐ろしさのイメージが低く,未知性のイメージは高かった。また養鶏農家は,未知性のイメージは低いものの,恐ろしさのイメージが高かった。
結論 地域住民と養鶏農家の鳥インフルエンザのリスク認知の違いが明らかになった。

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© 2015 日本公衆衛生学会
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