2016 年 63 巻 12 号 p. 758-768
目的 たばこ規制枠組み条約(FCTC)第14条のガイドラインでは,たばこ対策と禁煙治療を支える土台整備のため「すべての医療従事者は,タバコ使用習慣をたずね,短時間の禁煙アドバイスを行い,禁煙を励まし,必要な場合専門治療施設に紹介する必要がある」と述べられている。禁煙による疾病予防効果,予後改善効果のエビデンスが確立されている疾患分野においては,明瞭に診療ガイドラインへ記載することにより禁煙指導を標準化した治療指針の一つとして位置付ける必要がある。そこで本研究では各学会の診療ガイドラインにおける禁煙の位置づけについて調査研究を行った。また受動喫煙防止活動を積極的に推進しているかという観点から,専門医・認定医が非喫煙者であることを条件にしている学会の調査を行った。
方法 2014年のアメリカ公衆衛生総監報告書「The Health Consequences of Smoking. 50 Years/ A Report of the Surgeon General Executive Summary」において,喫煙と因果関係ありと判断する上での証拠が確実と判定された疾患を喫煙関連疾患と定義し,喫煙関連疾患に関係する学会を対象に,2016年 4 月現在,ホームページにおいての禁煙宣言や診療ガイドラインにおける禁煙推奨の位置づけを検討した。また受動喫煙防止活動推進の観点から2016年 4 月現在,ホームページで専門医・認定医が非喫煙者であることを条件としていることを公表している学会を調査した。
結果 調査した24学会中,禁煙宣言を行っているのは 9 学会(38%),診療ガイドラインにおいて喫煙と疾患との関連性を記載しているのは18学会(75%),禁煙推奨に関して記載しているのは15学会(63%)であった。また専門医・認定医が非喫煙者であることを規則で明記している学会は 5 学会であった。
結論 心血管分野のガイドラインと日本麻酔科学会周術期禁煙ガイドラインは他の分野より禁煙の重要性が強調されているが,それでも米国に比べれば遅れていることが判明した。