日本公衆衛生雑誌
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高血圧通院者が抱える自覚症状の実態調査:平成22年国民生活基礎調査匿名データ
月野木 ルミ村上 義孝
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2018 年 65 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

目的 平成22年国民生活基礎調査の匿名データに基づき高血圧通院患者が抱える自覚症状の実態調査を行った。

方法 統計法第36条に基づき申請・入手した平成22年国民生活基礎調査匿名データBを利用した。対象者は20歳以上の10,218人とした(施設入所・入院者,悪性新生物および精神障害通院者除く)。自覚症状と高血圧通院との関連の検討にはロジスティック回帰を用い,結果変数として高血圧通院有無,要因として高血圧に関連すると考えられる主な自覚症状(頭痛,耳鳴り,動悸,肩こり,足の浮腫とだるさ)を投入し,年齢,喫煙状況,日常生活動作障害有無を調整して男女別に検討した後,さらに男女を統合して男女別を調整変数に加えたモデルでも解析を行った。

結果 高血圧通院者数は男性640人,女性740人であった。高血圧通院と自覚症状との関連を,男女を統合してみると,頭痛は1.25(95%信頼区間[CI]: 0.92-1.69,P=0.153),動悸は1.35(95%CI : 0.96-1.92, P=0.088)とオッズ比の上昇傾向を認めた。肩こりは1.55(95%CI : 1.29-1.88, P<0.001),足の浮腫やだるさは1.39(95%CI : 1.04-1.85, P=0.024)と有意なオッズ比の上昇を示した。

結論 高血圧通院者では,頭痛,動悸,肩こり,足の浮腫とだるさの訴えが認められた。各症状は高血圧に関連する症状と考えられるが,加齢や併存疾患など複合的な要因で生じている可能性にも留意して長期的かつ包括的な高血圧治療管理を行っていく必要がある。

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