2026 年 73 巻 1 号 p. 60-70
目的 生活困窮者の自立を支援する上で重要な一つの側面に健康支援があるが,その地域における取組実態や行政内外との具体的な連携先の実態は十分に明らかになっていない。本研究では,生活保護制度の実施主体である福祉事務所と生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業における主な実施機関である社会福祉協議会を対象に,初回面談時の事業対象者の健康状態や食事状況の確認,それらの状況を評価するためのアセスメントシートの活用状況,行政内外との連携状況および食生活支援内容について明らかにすることを目的とした。
方法 2024年1月に全国1,250の福祉事務所および全国612の社会福祉協議会に対しアンケート調査を行った。事業対象者への健康・食生活支援実施状況として初回面談時の事業対象者の健康状態や食事状況の確認,それらの状況を評価するためのアセスメントシートの活用状況,行政内外との連携状況および食生活支援内容について回答を求めた。
結果 福祉事務所および社会福祉協議会の50%以上が事業対象者との初回面談時に確認していた項目は,健康状態では「体調」「定期的な通院・服薬状況」「移動手段」,食事状況では「外食,中食,自炊状況」「食事回数」であった。健診受診状況を確認していた団体は福祉事務所,社会福祉協議会ともに30%程度であった。福祉事務所の50%以上はアセスメントシートを使用していなかった。社会福祉協議会はアセスメントシートを使用していたが,とくに食事状況の確認項目がなかった。他団体との連携状況は,福祉事務所では保健医療部門との連携がみられ,社会福祉協議会では幅広い団体との連携がみられた。フードバンク等の食品提供支援と合わせた食生活への助言,子ども食堂等の情報提供等を行っている団体は未実施の団体より連携団体合計数の平均値が有意に高かった。
結論 支援対象者の健康状態や食事状況を評価するアセスメントシートの活用や,保健医療専門職を含めた他団体と連携を進め支援をつなげていくことが,今後重層的な健康・食生活支援を推進するために必要となると考えられた。