2026 年 73 巻 1 号 p. 54-59
目的 改正健康増進法(2020年)では,屋外や家庭においても「望まない受動喫煙」をなくすことが努力義務とされた。これに伴い,都市部では屋外喫煙所の設置が進む一方,その効果や基準に関する評価は十分ではない。本研究は,屋外喫煙所の周囲で微小粒子状物質(PM2.5)濃度の測定により,受動喫煙の曝露状況を評価し,屋外喫煙所設置時の留意事項を明確にすることを目的とする。
方法 2021年4月から2024年12月にかけて,四方を壁で囲み,出入り口がクランク状の屋外喫煙所34か所およびコンテナ型の屋外喫煙室10か所の内部と周囲のPM2.5濃度をデジタル粉じん計を用いて測定を行った。そのうち典型的な屋外喫煙所4か所とコンテナ型屋外喫煙所1か所について報告する。
活動内容 以下の4点について検討を行った。①壁の高さの効果については,壁高3.2 mでは,内部のPM2.5濃度は平均41 µg/m3,風下方向の平均濃度は5.4 µg/m3で,壁高2.5 mでは,内部濃度は平均38 µg/m3,風下方向の平均濃度は9.5 µg/m3に抑制された。②クランクの形状については,クランクの重なりが不十分で喫煙可能区域が外部から見通せる場合,喫煙所外での濃度が上昇した。③壁下部の隙間からの拡散については,隙間が2~5 cmであっても,隙間からの漏れにより,外部濃度が瞬間的に164~400 µg/m3まで上昇した。また,壁下部を完全に塞いだ場合,泥等の堆積を認めた。④コンテナ型喫煙室(HEPAフィルターを用いた空気清浄機を設置)については,HEPAフィルターを通じて排気された空気中のPM2.5濃度は,内部環境が平均548 µg/m3に対して,平均9.3 µg/m3であった。
結論 以下の点を踏まえた屋外喫煙所の適切な設計と基準は受動喫煙防止に効果的であることが示された。①4方向を十分な高さ(2.5 m以上,可能な範囲で高く)の壁で囲う。②出入口は十分な重なりがある二重クランクとする。③壁と路面の間の空間は泥等の堆積を防ぐため1 cm程度とし,一部のみ開放する。④コンテナ型喫煙室ではHEPAフィルターを用いた空気清浄機を用いる。
非喫煙者を受動喫煙から保護し,喫煙者には喫煙所の内部に禁煙外来などの啓発的な情報を掲示し,喫煙率の低下に寄与することが根本的な対策と考えられた。