日本公衆衛生雑誌
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原著
雇用形態・家族構成と栄養素摂取の関係
阿部 彩堀川 千嘉喜屋武 ゆりか
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2026 年 73 巻 5 号 p. 438-450

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抄録

目的 本研究は,勤労世代(20–64歳)の雇用形態および家族構成と栄養素等摂取の過不足状況との関連を分析することを目的とする。

方法 厚生労働省「国民健康・栄養調査」と「国民生活基礎調査」(2019年)を突合したデータ(n=2,701)を用いて,勤労世代の栄養素等摂取の過不足率を推計した。過不足率の推計には,栄養素摂取量を,総エネルギー摂取量(kcal)で除して,性別および年齢区分別の推定エネルギー必要量を乗じた値を日本人の栄養摂取基準と比較した。その上で,それらと,雇用形態(正規・非正規・無職)および家族構成(一人暮らし,夫婦のみ,ふたり親と子[親,子],ひとり親と子[親,子],三世代[親,子],その他の家族構成)別のカイ二乗分析,および過不足であるか否かを被説明変数とし,雇用形態,家族構成,年齢,都市規模,都道府県による統制をしたロジスティック回帰分析を行った。

結果 雇用形態により,女性では3つの栄養素の不足者の割合に統計的に有意な差が2変数のカイ二乗分析で見られたが,男性では見られなかった。家族構成別には,男性では10の栄養素,女性では14の栄養素で過不足者の割合に有意差が見られ,男性では「三世代」世帯の親,また,女性では,「一人暮らし」の栄養素不足の割合が高い栄養素が多かった。しかし,ロジスティック解析の結果からは,男性の非正規労働者は,正規労働者に比べ,総食物繊維,葉酸,カリウム,マグネシウムにおいて不足者の割合が有意に高かった。女性では,雇用形態により,n6系脂肪酸,総食物繊維,ビタミンA,ビタミンC,食塩相当量,マグネシウムにて過不足者の割合に有意に差があった。また,男性では14,女性では16の栄養素について,家族構成により過不足者の割合に有意に差があった。男性については,「一人暮らし」と「三世代」の「親」は,「ふたり親と子」世帯の「親」よりも不足者の割合が有意に高い栄養素があった。女性については,16の栄養素のうち,9つの栄養素において「ふたり親と子」世帯の「子」,8つの栄養素において「夫婦のみ」世帯は,「ふたり親と子」世帯の「親」に比べ,栄養素摂取過不足者の割合が有意に低かった。

結論 現役世代における栄養格差は,働き方や家族構成といった要素と関連していた。また,「ふたり親と子」世帯の「親」の男女や,「三世代」世帯の「親」など,これまで着目されてこなかった層における栄養素の過不足が検証され,様々な要因に対応した政策を考案する必要がある。

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