日本公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2187-8986
Print ISSN : 0546-1766
ISSN-L : 0546-1766
原著
紙巻きたばこ喫煙者の喫煙および禁煙試行の動向
萩本 明子片野田 耕太田淵 貴大
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2026 年 73 巻 5 号 p. 420-428

詳細
抄録

目的 加熱式たばこ発売後の紙巻きたばこ喫煙者の喫煙状況や禁煙試行の動向を明らかにする。

方法 日本における新型たばこについて実態把握することを目的としたインターネット調査The Japan “Society and New Tobacco” Internet Survey(JASTIS)の2016年,2018年,2020年,2022年の結果を用いた。対象者は紙巻きたばこを習慣的に使用していた20~69歳の男女である。調査項目は,基本属性,現在喫煙の有無,過去1年に喫煙したたばこの種類および,禁煙試行の有無,禁煙試行方法を用いた。調査年ごとで基本属性,喫煙状況,禁煙試行の割合を集計するとともに禁煙試行方法ごとの割合と重複状況を集計し,項目ごとにカイ2乗検定を行い,有意な項目は前年の結果と比較した。また,喫煙や禁煙状況は傾向検定を行った。

結果 分析対象者は2016年934人,2018年1,717人,2020年1,348人,2022年4,117人となった。対象者の約7割が男性であり,40~50代の割合が最も高かった。喫煙状況をみると,紙巻きたばこのみ使用者は,2016年94.5%であったが,2018年に60.3%と急激に減少していた(P<0.001)反面,加熱式・電子たばことの併用者が4.0%から37.3%と急激に増加(P<0.001)した。禁煙試行率は,2016年16.0%であったが年々増加し,2022年では40.1%に達した(P<0.001)。禁煙試行方法は,2016年は自力が最も多く71.8%であったが,2018年では41.7%に減少し(P<0.001),加熱式・電子たばこの使用は,28.9%が64.3%に増加した(P<0.001)。禁煙治療や薬局のニコチン製剤は,2016年にはそれぞれ,18.1%,26.2%であったが,2020年以降増加が見られた。

結論 加熱式たばこ発売以降,紙巻きたばこ使用者において,紙巻きたばこ単独の使用者は減少し,加熱式・電子たばことの併用者が増加していた。同時に禁煙試行率も増加していたが,禁煙試行方法として,加熱式・電子たばこの選択が増加していた。加熱式たばこの有害性は徐々に証明されつつあり,禁煙に関しても禁煙成功率を低下させ,再喫煙率が高まると報告されており,禁煙試行方法としての加熱式たばこを選択することには問題がある。喫煙者への正しい知識の普及が不可欠と考えられる。

著者関連情報
© 2026 日本公衆衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top