日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
都市部高齢者の低栄養予防を目的とした一体的実施事業の実践:東京都千代田区の取り組み
杉山 美香 稲垣 宏樹光武 誠吾平田 匠
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2026 年 73 巻 8 号 p. 717-728

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抄録

目的 高齢化の進行に伴い,フレイルや低栄養予防の地域介入の重要性が高まっている。千代田区では「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」の一環として,2024年度に低栄養予防を主軸としたハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを展開した。本報告では,同事業の実施過程と成果をRE-AIMモデルに基づいて評価し,有効性と今後の課題を明らかにすることを目的とした。

方法 庁内外の連携体制として「一体的実施事業推進会議」と「作業部会」を設置し,保健福祉部職員に対しEBPM実践を支援する「データ活用研修」を実施した。ハイリスクアプローチでは,KDBシステムを用いてBMI 20.0以下かつ体重減少のある高齢者43人を抽出し,管理栄養士と目標設定後,4回の訪問支援を実施。介入前後で体重,BMI,WHO-5,CO-DVS,CNAQ-Jなどを評価した。ポピュレーションアプローチでは,区民向け講座やパンフレット配布などを通じて普及活動を行った。量的・質的データをRE-AIMモデルに基づき評価した。

活動内容 ハイリスクアプローチでは43人中25人が参加し,20人が完遂,継続率は80%だった。健康指標に統計的有意差は見られなかったが,30%に1 kg以上の体重増加,約75%に主観的な行動変容が確認され,支援の意義が示唆された。また,地域包括支援センターとの連携により,介護申請や孤立者への支援など新たな支援にもつながった。ポピュレーションアプローチでは,2,940部の普及啓発パンフレットの配布と,講座・フレイル測定会を通じ,延べ271人に情報提供を行った。講座参加者の9割以上が内容を有益と評価した。生活支援体制整備事業との協働も実施した。データ活用研修では,業務でのKDBシステム活用や,データに基づいた施策立案に対する意識向上が確認された。

結論 本事業は,KDBデータに基づく対象抽出,多職種・地域連携,個別と集団の支援により,地域包括ケアの実践として一定の成果を示した。今後は事業評価の方法の確立,支援の個別化,ICT活用,中年層や無関心層への啓発,既存事業との連携など,持続可能な体制の構築が求められる。

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