論文ID: 22-005
公衆衛生,とくに,健康増進において,健康格差の視点から健康無関心層に対するアプローチが課題となっている。そこで,本稿では,健康への関心もしくは脆弱性による介入効果の違いと健康格差を考慮したポピュレーションアプローチの類型化を提示する。まず,集団全体を「高関心層」,「中関心層」,「低関心層」に層別化した。それぞれのリスク低下の程度により,ポピュレーションアプローチを,(1)格差拡大を伴う(全層のリスク低下,高関心層ほど低下大),(2)格差不変(全層のリスクは一様に低下),(3-1)格差縮小を伴う(全層のリスク低下,低関心層ほど低下大),および(3-2)格差縮小を伴う(低関心層のみリスク低下)の4つに類型化した。さらに,それぞれの類型の具体的な取組例の整理を行った。今回提示した類型化は,健康格差を縮小させながらポピュレーションアプローチを推進することに寄与するであろう。