2016 年 58 巻 10 号 p. 2169-2175
症例は52歳,女性.主訴は繰り返す腹痛,嘔吐.腹部単純X線検査と腹部CT検査で,上行結腸から下行結腸内側に異常石灰化像,大腸内視鏡検査では,盲腸に類円形の潰瘍と盲腸から下行結腸にかけて暗青紫色調粘膜が連続性に認められた.以上より,特発性腸間膜静脈硬化症と診断した.アスピリンとワルファリンによる抗血小板・抗凝固剤の併用療法を開始し,すみやかに自覚症状の改善を認めた.約6年後の大腸内視鏡検査では暗青紫色調粘膜が著明に改善しており,特発性腸間膜静脈硬化症の治療方法の1つとなりうる可能性があるので報告する.