日本公衆衛生雑誌
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中学生・高校生におけるメディア利用時間と主観的健康感の関連
佐野 碧岩佐 一森山 信彰中山 千尋宍戸 由美子安村 誠司
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論文ID: 22-012

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抄録

目的 急速に発展しているインターネット(以下,ネット)等の普及に伴い,ネットの過剰利用や利用年齢の若年化が問題視されている。中学生・高校生(以下,中高生)のネット等の長時間のメディア利用と朝食欠食,運動不足,睡眠時間の減少,精神的健康度の低下の関連が報告され,中高生の健康悪化が懸念される。そこで,本研究では中高生におけるメディアの利用と主観的健康感の関連について明らかにすることを目的とした。

方法 2016年5月に実施した「福島市民の健康と生活習慣調査」のデータを分析した。対象者は福島市内の全中学校・高校に在籍する生徒から1,633人を無作為抽出した上で,自記式質問紙調査を実施,留め置き回収とした。最終的に1,480人(中学生583人,高校生897人)を解析の対象とした。解析は中学生・高校生別に行い,主観的健康感を従属変数,メディア利用時間を独立変数,各種生活習慣等を調整変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い,オッズ比(OR)とその95%信頼区間(95%CI)を算出した。

結果 主観的健康感が不良の者は,中学生では52人(8.9%),高校生では123人(13.7%)であった。中高生において,3時間以上のメディア利用をするものは主観的健康感が不良となる割合が高く,高校生では有意な関連を認めた(OR : 2.30,95%CI : 1.36-3.90)。また,中高生共に「肥満」,「運動習慣(なし)」,「ストレス(あり)」と主観的健康感不良の間に有意な関連が示された。さらに,高校生では「就寝時間(遅い)」と主観的健康感不良の関連も認めた。

結論 中高生においてメディア利用時間が長い者は,主観的健康感が不良となりやすい可能性が示唆される。

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