日本公衆衛生雑誌
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へき地住民のオンライン診療・服薬指導に対する利用意向
古城 隆雄阿江 竜介西村 謙祐原田 昌範
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論文ID: 24-125

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抄録

目的 へき地住民のオンライン診療・服薬指導の利用意向と住民の特性,通院状況,介護や最期の場所に対する意向との関連を明らかにする。

方法 2022年10月~2023年1月に,山口県周南市のへき地医療対策9地区に居住する20歳以上の住民(総数6,382人)から地区・性・年齢階級別の層化無作為抽出で選出した3,767人を対象に,郵送法による自記式調査を行った。調査項目は,オンライン診療・服薬指導への意向,住民の特性,通院状況,介護や最期の場所に対する意向とした。従属変数にオンライン診療・服薬指導への意向およびオンライン診療・服薬指導を利用したくない理由を設定した多変量ロジスティック回帰分析を行い,関連する項目を検討した。

結果 1,540人(有効回答率40.9%)を分析対象とした。オンライン診療をへき地診療所などで利用したい者は43.0%,自宅で利用したい者は48.1%であった。また,へき地診療所などでオンライン服薬指導を利用したい者は53.5%であった。オンライン診療・服薬指導の利用意向が高い者に関連する要因は,共通して「50代以下」「スマホ利用者」であった。オンライン診療については「通院している者」「離島居住者」の利用意向は低く,「通院時間」「一人暮らし」「最期を自宅で受けたい者」は関連が認められなかった。利用したくない理由で回答割合が多かったのは,「会った方が話しやすい(45.2~56.0%)」「体験したことがないから(36.6~41.2%)」「説明の声が聞きにくいから(12.5~14.3%)」であった。自由記述の回答では,「分からない・必要性がない(27.8~42.4%)」「現在の通院・薬局利用で問題ない(13.6~21.5%)」「機器操作関連での懸念(10.4~18.2%)」が多かった。

結論 オンライン診療・服薬指導の利用意向が高い住民の特性と,利用したくない理由を明らかにした。オンライン診療・服薬指導を体験する機会を増やし,住民のオンライン診療・服薬指導の利便性や必要性に対する理解を促すことが重要であることが示唆された。

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