論文ID: 24-143
目的 本研究の目的は,生活保護受給者における食事の質に関連する要因を明らかにすることである。とくに,基本属性および社会的サポート(情緒的サポート,手段的サポート,対面接触,非対面接触)が食事の質に与える影響を検討した。
方法 2023年10月1日時点で,宮城県仙台市にある泉福祉事務所管内の生活保護受給者1,878人を対象とし質問票調査を実施した。基本属性である性別,年齢,世帯員数,世帯類型,および就労の有無は,生活保護システムから把握した。食事の質の指標として,12項目から構成される簡易型質問票を用いて算出された「日本人用食事の質スコア(DQSJ)」を採用した。DQSJのスコアの中央値を基準に対象者を低DQSJ群と高DQSJ群に分類し,基本属性および社会的孤立との関連について記述統計を得た。その後,DQSJのスコアの高低を従属変数とし,調整変数および独立変数との関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。
結果 回答が得られた485人(25.8%)が分析対象となった。女性256人(52.8%),男性229人(47.2%),平均年齢55.3歳,DQSJの中央値は10.5であった。ロジスティック回帰分析の結果,男性(基準:女性)は高DQSJ群に属するオッズ比が0.61(95%CI: 0.43–0.89)であり,統計的に有意であった。調整変数を補正後も,情緒的サポートが有る群が高DQSJ群に属する可能性が高いことが示され(OR=1.52, 95%CI: 1.01–2.30),手段的サポートがさらに強い関連を持つことが確認された(OR=2.33, 95%CI: 1.52–3.58)。一方,対面接触および非対面接触のオッズ比は統計的有意性を示さなかった。
結論 本研究により,生活保護受給者において,情緒的サポートおよび手段的サポートが食事の質の向上に寄与する重要な要因であることが示唆された。一方で,対面接触や非対面接触は食事の質に関連していないことが示された。これらの結果は,生活保護受給者に対する情緒的・手段的サポートを強化することが食事の質を改善する上で有効である可能性が示唆された。