論文ID: 25-010
目的 女性労働者は就労上で月経に関する様々な困難感を抱えている。先行研究では5割の女性労働者は,職場が月経による体調不良者への理解がないことなどを報告している。一方,男性労働者における女性の月経に伴う症状への知識の現状等を明らかにした知見は多くない。本研究では,男性労働者における女性の月経に伴う症状等への知識と基本属性(年代,職位,配偶者・パートナーの有無)との関連および産業保健実践の示唆を検討することを目的とした。
方法 2023年8月7~28日に福島県内の製造業である2つの事業所に勤務する男性労働者へ無記名自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,基本属性,月経に関する知識(月経前や月経中に出現する症状,月経異常に関すること,月経に関する社会の動向)で,知っているまたは知らないの2件法で尋ねた。対象者の基本属性と月経に関する知識の有無を記述統計で把握し,月経に関する知識の有無と基本属性との関連をχ2検定および残差分析で検討した。
結果 2つの事業所をあわせて311人へ配布し,190人(回答率61.1%)より回答があり,165人を分析対象とした。月経前や月経中に出現する症状および月経異常に関する知識は,「怒りっぽくなる」「大量の出血」「倦怠感」「気分の落ち込み」「下腹部痛」「月経不順・無月経」を7割以上が知っていた。一方,「かゆみ」「発汗」「ホットフラッシュまたはのぼせ」を知っている人は,約2割であった。月経異常は,「過長月経」を知らない人が約7割であった。「月経に関する社会の動向」は,9割前後の人が知らなかった。月経に伴う症状等の知識と基本属性との関連は,10歳代では「食欲の増進」,20歳代では「胸の張り」「眠気」「食欲の増進」を知っていた。一方,50歳代では「眠気」「食欲の増進」,60歳代では「胸の張り」「食欲の増進」を知らなかった。管理職では,「怒りっぽくなる」「大量の出血」「下腹部痛」「集中力の低下」「発汗」を知っていた。配偶者・パートナーがいる方が「ホットフラッシュまたはのぼせ」を知っていた。
結論 月経前や月経中に出現しやすい症状は知っている人が多かったが,出現しにくい症状や月経異常,月経に関する社会の動向は知らない人が多かった。男性労働者の月経に関する知識向上に向けて,社内研修における月経に関する情報提供が考えられるが,効果的な方策について更なる検討が必要である。