抄録
高い安全性が求められるプラントで働く職員の業務遂行に伴う心理的な負担(精神的な負担)を管理することは,ヒューマンエラーを未然に防止するためには重要である.そこで本研究では,職員が表出する負担感として定義づけた「繁忙感」について,国内産業場面での研究概要を整理するとともに,今後の繁忙感研究の展望を論ずる.その結果,産業場面を対象とした既存研究では,教師および医療関係者を対象としたものが多いこと,また,繁忙感を規定する要因は,主に業務量であるとする立場と,業務量だけに限定せず複数の要因を考慮すべきであるとする立場の大きく2つに分けられた.特にプラント職員を対象とした研究では,後者の立場から繁忙感が生ずる原因を予測する取組みがみられた.以上の先行研究の結果をもとに,今後のプラント職員を対象とした研究の展望としては,リスクマネジメントの観点から,①繁忙感とメンタルワークロードとの関係の検討,②望ましい繁忙感範囲の検討,そして,③繁忙感を低減させるための方策の検討という3つの課題への取り組みが重要であると主張する.