ヒューマンファクターズ
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研究論文
直線描画タスクにおける線の引き方と失敗傾向の関係性
井上 大成吉田 典正石橋 基範
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2022 年 27 巻 1 号 p. 27-35

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抄録
失敗行動のタイプを簡便かつ迅速に測定することを目的として,本研究では,タブレット端末上に表示された点群から直線を引くタスク(直線描画タスク)と失敗傾向との関係を調べる.点群に基づいて引いた直線の評価尺度を提案し,この尺度と失敗傾向の得点との関係を検討し,どのような点群が関係を持つのかを明らかにする.10 種類の点群について,34 名の実験参加者に,1 日以上空けて3 回タスクを行った.特定の2 種類の点群について,引いた線から点群の中心までの距離 (𝑑b) とアクションスリップ (AS, 物忘れや不注意からくる失敗傾向) の得点には相関関係があるという結果 (相関係数: 0.57, 0.39, p<0.05) を得た. 𝑑bを目的変数とした重回帰分析の結果 (決定係数: 0.25, p<0.01) により,直線描画タスクの知覚・認知モデルを作成した.本研究の結果より,直線描画タスクにおける線の引き方は,AS の得点と関係し,線を引く際の認知の段階で認知の狭窄 (自身に高い負担がかかった際に,認知や処理できる情報の範囲が狭くなることが起こりやすい傾向) とも関係する可能性を示している.
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