抄録
駅での停車に関わるエラーのうち、ブレーキ時機を逸したエラー(ブレーキ時機エラー)に着目し、各運転士が「ブレーキ時機エラー」を起こす可能性(エラーの発生可能性)を評価することを目的とした。鉄道事業者の運転士118 名を対象に、実際の列車に搭載された運転情報記録装置から収集された1 年分の駅停車データについて分析した。過去2 年間に「ブレーキ時機エラー」を経験したかどうかを目的変数とし、停車前の5 秒間に常用の最大ブレーキを使用した割合や所定の停止位置の200m 手前地点での走行速度等の運転実績データ、経験年数等の運転士属性を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った。その結果、常用最大ブレーキ使用の割合、ブレーキ全緩め使用の割合、200m 手前地点での走行速度の標準偏差、経験年数が目的変数への影響が大きい説明変数として選択された。これらの変数を用いた回帰式により、「ブレーキ時機エラー」の発生を79.0%の精度で判別できた。