抄録
産業用制御システムにおけるトラブルは,安全,ビジネス,環境など多様な観点から社会に大きな悪影響を及ぼす可能性がある.製造業におけるサプライチェーンやスマート化などの連携が進む中,インシデント対応の実施には,組織連携や変更管理に対する課題が存在する.そのような状況において,サイバー攻撃を考慮したインシデント対応のマネジメント手法を検討する必要がある.したがって,本論文では,上記の課題に着目し,組織連携を伴うインシデント対応のためのマネジメント手法を提案した.提案するモデル構造は,一般的に組織内で整理されている情報を変更管理しやすい構造で連携させた上で,ネットワークを通じたサイバー攻撃による望ましくない悪影響の推測に役立つ.ネットワーク構成図と組み合わせたSTAMP を用いた多重対策モデルを核とした本手法を用いて検討することで,サイバー攻撃を想定したインシデント対応におけるレジリエンシーと負荷が集中する人材などを摘出でき,ヒューマンファクターに関する問題の解決に役立つ.