抄録
【目的】これまで魚肉への食塩及び蔗糖の浸透性の比較については報告されている1)2)が、塩種による違い、特に塩化ナトリウム(NaCl)及び塩化カリウム(KCl)の浸透性の比較を報告した例はない。そこで、本研究ではマグロ魚肉を試料とし3種の塩種溶液、即ちNaCl溶液、KCl溶液、混合液(NaCl:KCl=50%:50%)を用いてNaCl、KCl各々の浸透性について検証した。
【方法】マグロ試料は市販されているキハダマグロを使用し、1.5×1.5×4.0cmに切断した。その試料を10%及び20%濃度の3種の塩種溶液に表面のみが接触するように浸漬し(浸漬液接触表面1.5×1.5cm)、6、20、30時間後にとりだして下面より0.5cmの厚さで2.5cmまで肉片を切り取り、別個に細砕均一化し測定に用いた。Na+、K+は原子吸光光度法により測定し、NaCl値、KCl値はNaCl値=2.54×Na+、KCl値=1.91× K+により算出した。また、拡散速度は拡散式の解として各浸漬時間における拡散係数を求めた。
【結果】マグロ魚肉へのNaCl及びKClの浸透性比較の結果、NaCl、KCl各々の浸透量はNaCl溶液、KCl溶液、混合液で異なることを確認し、全ての条件において塩種濃度が10%よりも20%の方が大きいことが示された。また、拡散速度は塩種濃度に関わらず、混合液、KCl溶液、NaCl溶液の順に大きくなることを見出した。
1)秋場稔他:北大水産彙報 127-135 (1967)
2)鈴木敏博:静岡県農業水産部・環境森林部農林水産関係試験研究成果情報 136-137 (2005)