抄録
トルエンと無水安息香酸からフェニルトリルケトンを誘導するフリーデル・クラフツ型アシル化反応を様々なイオン交換ヘテロポリ酸触媒存在下で試みた。塩化アルミニウム触媒やアシル化剤としての酸塩化物を使用しないのでハロゲンフリーのファインケミカルズ合成プロセスの一例と考えられる。Na, Rb, K, Cs, Ca, Mg, Fe等によるヘテロポリ酸の部分交換を行いその促進効果を検討した。不溶性のH0.5Cs2.5PW12O40触媒が60% という最高収率を示した。収率が上がらないのは副反応によるものと考えた。副反応の抑制にトルエンの沸点以上の高温が適していることが分かったため, 反応を密閉型のステンレスオートクレーブ反応器を用いて行った。410 K以上で, 完全転化が得られ, 副反応も生起しなかった。フェニルトリルケトンの異性体の分布は高温と低温で変化なく, 反応機構は温度に依存しないことが示された。使用済み触媒をトルエンで洗浄することで, 触媒は2回目の使用が可能であった。しかし, 3回目の反応から活性が低下した。