Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
表面張力測定によるアスファルテンとマルテン成分の段階的会合挙動の観察
張 岩鷹觜 利公佐藤 信也斎藤 郁夫田中 隆三
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2004 年 47 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

減圧残油等に含まれるアスファルテンは,石油精製過程やハンドリングにおいて会合し,それが沈殿を形成することによる閉そくなどのトラブルを引き起こすことが知られている。本研究では,その会合機構を明らかにする目的で,イラニアンライト由来減圧残油をヘプタンで溶剤分別して得られたアスファルテン(ヘプタン不溶分)とマルテン(ヘプタン可溶分)を試料として,種々の溶剤中での表面張力測定を行い,それらの会合挙動を調べた。その結果,アスファルテン(またはマルテン)試料はキノリンの表面張力を低下させる能力を有するが,1-メチルナフタレンおよびトルエン溶剤においては,表面活性を示さず,溶剤種に依存することが分かった。また,アスファルテン,マルテンともに,キノリン中では,濃度増加とともに表面張力値の変化において幾つかの不連続点が存在することを見い出した。これらの現象は,濃度増加とともにそれらの会合が段階的に進行している機構で説明された。

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© 2004 公益社団法人石油学会
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