2004 年 47 巻 1 号 p. 37-43
石油精製所で生産される重質残さ成分は,水素化分解を行うと中間留分を製造できるため,輸送燃料製造に有効利用可能な有用な炭化水素源である。本論文では,芳香族成分: 96.0 vol%,S: 4.63 wt%,N: 0.15 wt% を含み,流動点: +30℃ である潤滑油基油フルフラール抽出液を原料とし,高屈折率な重質油原料の触媒水素化熱分解試験を系統的に論じた。実験は反応温度,水素分圧,滞留時間,触媒量をパラメーターとして,主に原料供給量250 gに対し,ともにニッケルを担持したシリカ-アルミナと,モレキュラーシーブ13Xを20 : 80の割合で混合したハイブリッド触媒25 gを充填して行い,これらパラメーターの効果について考察した。なお,系内ではシリカ-アルミナ担体とゼオライト担体は分解活性を有し,担持金属ニッケルは水素化サイトとして働く。
その結果,400℃,10 MPa,初期水素分圧9.0 MPa,滞留時間15分において,中間留分の収量が26.4 wt% で最大となった。