Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
接触水素化反応による炭酸ガスからのジメチルエーテル合成技術(第3報)複合触媒を用いたリサイクルプロセスによる直接合成
平野 正樹安武 聡信黒田 健之助
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2005 年 48 巻 4 号 p. 197-203

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抄録

CO2とH2を原料として,メタノール合成触媒とメタノール脱水によるジメチルエーテル(DME)合成触媒を組み合わせた複合触媒を用いてDMEを直接合成する実験を行った。
粒子状複合触媒(MD-12)とペレット状複合触媒(MD-13)では,形状の違いによるDME合成活性面での大きな差は認められなかった。
MD-13について563 Kでの2000時間の耐久性実験を実施した結果,メタノール合成触媒の活性は低下したが,メタノール脱水触媒の活性は低下しなかった。
ベンチプラントを用いて,ワンパス実験とリサイクル実験を行い,反応条件の影響を調べた。反応温度の影響に関しては523~563 Kの範囲では,メタノール合成反応は平衡の制約から温度の上昇とともに低下し,逆にメタノール脱水反応は温度の上昇とともに促進された結果,メタノール+DME収率は若干低下したものの,DME選択率は大きく向上した。
反応圧力の影響に関しては,メタノール合成反応は圧力の上昇とともに促進されたが,メタノール脱水反応はあまり圧力の影響を受けず,メタノール+DME収率は向上したが,DME選択率は低下した。このことは反応速度のシミュレーション結果と一致した。
リサイクル比の影響に関しては,リサイクル比の増大とともにメタノール合成反応とメタノール脱水反応の両方が促進され,CO2転化率が上昇した。DME選択率は,メタノール合成とDME合成の反応速度比も変わらないためほぼ一定であった。
以上から,CO2転化率,メタノール+DME収率およびDME選択率を上げるためには,反応温度とリサイクル比を高く,反応圧力は低く設定することが効果的であると考えられる。

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© 2005 公益社団法人石油学会
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